リバーズ・エッジ

リバーズ・エッジ (Wonderland comics)

リバーズ・エッジ (Wonderland comics)

 岡崎京子の作品を読んだのは多分初めてだと思う。姉貴の部屋にいくつかあったような気がするがおそらく読んでいない。なぜなら、まずこの作品から読もうと思っていたから。俺は知らない作家の作品を読むとき、大抵一番傑作という評価が多くなされてる作品から読む。ハズレが少ない、という打算も働いているだろうけど、そういう作品は後から考えるとその作家のカラーが一番わかりやすく表れている作品であることが多い気もするし。
 で、「リバーズ・エッジ」。いいっすね。この人のカラーだとかはまだわからんけど、こういう「若者」とか「痛み」が大きな構成要素になってる作品って、自分がそういうのに描かれるような若さや痛みみたいなものを実感した記憶があまりないせいか、はたまたひょっとしたら自分の中にあるのに無意識的に否定しようとしているのか、とにかくそういうような理由で苦手な事が多いのだが、この作品は好きになった。なんでだろう。今はまだよくわからないが、少なくとも最後の若草と山田の会話が、色んな壁や落とし穴を抜けて、心中の柔らかい粘膜に触れたのは間違いない。それに驚くほど無駄がない端正な造りだなあと。そういう作品はやっぱり止まらず読まされちゃうし、終わった時には作品が終わったというだけである種の感動があるなあ。
 あ、これはこの作品とはあんま関係ないけど、これから作品の感想書く時に、頑張って捻り出した分析もどきは出来るだけ書かないようにします。感触を文字にして残しておくことはやめないけど、それが目的になって一人歩きしている気もしたので。分析するのが自分にとって自然な反応だった場合にはそのかぎりではないけど。