マインド・ゲーム

マインド・ゲーム [DVD]

マインド・ゲーム [DVD]

 スタジオ4℃製作、湯浅政明監督で、ロビン西の同名漫画をアニメ化した映画っす。公開時から気になってたんだけど、今になってようやく観ました。いやー、強烈。人によってかなり好き嫌いが分かれそう。今まで観てきたアニメーションの中でもかなり個性的な部類に入る一本です。個人的には、「こりゃ付いていけん」という気持ちと、「これすごいんじゃねえのか」っていう気持ちの両方が入り混じっていて、どうにも頭から離れません。
 まずあらすじを。主人公・西が昔好きだった女の子・みょんちゃんと偶然再会し、その姉のヤンが営む焼き鳥屋で飲んでいたところ、彼女の父を追ってきたヤクザがそこに乱入。揉み合いになり、みょんちゃんが襲われてるのに端でビビッてうずくまってた西は、その姿のまんまヤクザに尻を撃たれるというかなり情けない姿で昇天。そのヘタレ具合を挽回すべくあの世から無理矢理勢いと気合いで死の直前の場面に復活するが…ちゅうような感じです。でもまあこれはプロットがどうこう、っていう映画じゃない気がします。イメージが怒涛のように流れていく様にどのくらいハマれるか、が分かれ目か。極彩色の映像の奔流に引いてしまったらこの作品嫌いになるだろうし、引き込まれてしまったらもう最後までノンストップでしょう。まあ映像に関しては観た方が早いので、あまり無駄な言葉は費やしません。アホくさくてサイケでやり過ぎで、何かしら印象には残るんじゃないでしょうか。かなりのテンションを感じる映像でした。特にラスト近くの爆走具合はもうとりあえず笑っとけって感じです。行くとこまで行ってます。もはや芸術的にさえ見えてくる。
 少しネタバレかもしれんけどラストに関して少し。あのシークエンスは、爆走後のカタルシスと相まってなかなか味わい深かったです。未来がどんな風であれ、彼らに幸のあらんことを、とか思いますねああいうの観ると。ヤクザのおっさんに関する映像もあったりして。
 声優陣は今田耕司とかぐっさんなどの芸人さんが主だったりします。声優どころか、突然キャラの顔が声当ててる人の顔になったりします。全篇アニメでいいと思うんだけどなー。今田氏に関しては、ぐだぐだ喋る場面では気にならんものの、切羽詰った心の叫びの場面では妙に切迫感が抜けてて良かったのやら悪かったのやら。そういえば音楽は山本精一がやってたりします。エンドクレジットにはチャイナさんの名も…。改めてご冥福をお祈りします。
 この映画に対して少し引いてしまった一因は、多少偶然に由来するところがありまして。親が留守の間に一人居間でこれ観てたんですけど、思ったより早く親が帰宅。その時よりによって焼き鳥屋での揉み合い→神様登場のあたり(笑)。ただでさえ映画観てる時に邪魔が入るの嫌いなのに、あの場面で親、となると変な気恥ずかしさも相まって、ちょっと集中できなくなってしまったのが痛かったっす。だって神様のグラフィックがあまりにアホくさいんですもの(笑)。長尾謙一郎おしゃれ手帖」とか電グルメロン牧場とかを親に読まれたような気分になりました。