やさしいからだ

 「ぼくらの」を買うついでに、こないだ金井美恵子読んだ時に言及したコレの2巻を読んでないことを思い出して衝動的に購入。しっかしこの二つを同時に買って読むと、心の中にアスベストが溜まっていくような気分になるな(笑)。
 これは連作短編集っす。前の作品にちらっと出てきたやつを次の話の主人公にするなどして前後の話同士を微妙に関連させつつ、ある生活の一断面をリアリスティック(時には空想的だが)描く作品。前にも書いたけど、この作品で描かれる出来事は、それが良いことであれ悪いことであれ良いか悪いかわかんないことであれ、その人物の中に永遠に残る「しみ」のようなものなんだろうなという気がする。長い間忘れていても、ふと見ればまだそこに残っている、絶対に消えないしみ。それをバトンを回すように色々な人々の立場から観ることになるわけで、例え心温まる話が描かれていようと、俺は読んでいてどこか寒気がする。そういう意味では、下手なホラーより怖い気が。
 「米山高志」の回を見てびっくりした。いきなり別次元にぶっ飛んでないか(笑)?しかもこの人物とかかわりのあるキャラ、出来事がこの回の前後にはちゃんと存在するわけで、ぶっ飛ぶ場合と飛ばない場合が同じ世界軸の中で共存してるのがすごく面白い。
 なんか回によって突然筆のタッチが変わる時があるのは何でだろう。いきなり線が太くなったりするとちょっとびっくりする。文体が変わったようなもんか?
 なんかね、変な言い方なんだけど、「漫画で書いた小説」って感じがすんのよ。比較して考えるなら漫画より小説の方がやりやすそうな。まあ単に俺がこういう話を、小説で多く読んでいて漫画であまり読んでいないだけかとも思うけど。