ロング・エンゲージメント
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2005/08/05
- メディア: DVD
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第一次大戦中のフランスで、マチルドはソンムの塹壕戦に出ていた五人の兵士が処刑されたこと、その中に自分の婚約者が含まれている事を知る。でも彼の生存を直感したマチルドは足取りを調査し始める…というお話。プロットがかなり複雑だけど、監督がそれをテンポよく、それでいて必要な部分は(おそらく)全て省かずに構成しているため、常に二転三転する展開が全くテンションを落とさないまま進む。おかげで一回もダレないで観られた。常に面白い、というのはかなりすごいと思う。原作の力も大きいだろうが、それをここまで整った形で抽出したジュネ監督、かなりの腕前です。
んでジュネだけあって映像もさすが。田舎町や20世紀初頭のパリ、ソンムの塹壕などそれぞれの舞台の空気がしっかり色を持っていて、引き込まれる。展開は「アメリ」と全然違うし比べると多少ヘビーではあるけど、あの映像に惹かれた人なら今作の映像にも間違いなくはまる。所々ジュネ印な要素も出てくるしね。あと彼の映像って全体的にセピアっぽい赤がかかっているような気がするんだけど、それがすごく好き。無性に胸がざわつく。思ってみれば、彼は空の抜けるような青を描いたりしてない気がする(そんなに多く彼の作品を観たわけではないけど)。こういう色彩感覚も彼の映像世界の大きな要素なんじゃなかろか。
もし観る人がいたら一言。登場人物が多く、一度では覚えるのが難しいので、その点気合入れて観て下さい。下手すると人の区別つかなくなるんで。誰が誰だかしっかり把握してる方が確実に面白い作品です。キャラもみんないい味出してるなあ。個人的にはセレスタン・プーが好き。
反戦映画とも読める。でも俺は観てる間プロットに引き込まれすぎて、そっちの方向性を意識しなさすぎたな(笑)。思い返してみれば、五人の自傷エピソードや塹壕の場面を観るに、戦争の壮絶さ、非人間性は強く伝わってくる。戦争映画というには戦争シーンが少ないけど、かなり気合を入れて作ってあるしね。ちなみに戦争シーンは「プライベート・ライアン」を一つの指針として製作したそうな。言われてみれば納得する。
原作読みたいなあ。フランスのミステリー作家、セバスチャン・ジャプリゾの「長い日曜日」。文庫にしては高いけど。表紙思いっきりこの映画だね(笑)。一応リンク付けときます。
- 作者: セバスチアン・ジャプリゾ,田部武光
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2005/03/09
- メディア: 文庫
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