夜叉ヶ池、天守物語
- 作者: 泉鏡花
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1984/04/16
- メディア: 文庫
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基本的に怪奇・幻想の類は好きなので、泉鏡花を嫌いなわけはないんだけど、ある種「萌え」に近いような感覚で好きなのでこれについて何か考えて書けって言われても書けない気がする。というか現に今何を書こうか思案している(笑)。この妖しくて時に滑稽な幽玄の世界に浸るだけで充分楽しめちゃうんだよなあ。そういう意味でも、「龍宮」を読んだ時にこの人の作品を読みたくなったというのはわかりやすい反応だと我ながら思う。これに切実な教訓的奥行きを求めるっていうのはあまり面白くないかなあ。でも、そういう作品をどのように語るか、っていうことも、考えていて面白いなと、澁澤龍彦のあとがきを見て思う。
俺は「天守物語」の方が好き。天守閣に妖怪が住んでるっていうモチーフだけで充分魅力的なんだけど、その妖怪が普通にやんごとなき生活を送っているのがいい。「うらめしや〜」っていう幽霊とかは結局人間側が想像で作り出したものというか、その幽霊独自のロジックを持っていなさそうで、人間がいなくなると同時にいなくなりそうだけど、ここに出てくる妖怪は人間の知らぬところで勝手に暮らしている感じ。