魔女
- 作者: 五十嵐大介
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/01/28
- メディア: コミック
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すごいのはもうわかってたんだけど、それでもやはり言わせてもらいたい。ほんとにすごいっす。作画面では弐瓶勉に勝るほどの天才があるのは間違いない。「風の谷のナウシカ」くらいのサイズの単行本で読みたいくらいだよ。各話の見開きのページを見れば、多分誰でも納得すると思う。ヘタなアート作品よりよっぽど衝撃的。それが1000円ちょっとで2冊分手に入るんだから、悪いこた言わん、買っとけ(笑)。
話の面でもとても惹かれるものが充分詰まっている。「わたしたちには決して触れることのできないもの」(『SPINDLE』より)を知る魔女たちについてのお話。舞台もトルコ、熱帯雨林、北欧、日本等と幅広く、「魔女」と言って通常浮かぶような西洋以外にも(むしろ西洋以外が中心であるけど)そのような存在を認めているところが非常に納得いくし、何より(ストーリー的、造形的に)素敵。完全なる別世界での話ではないんだよな。この作品に出てくる幻想は、彼個人から生まれ出たものというよりは土地ごとにある土着的な精霊という要素が強いし。
どうやら彼の他の作品「リトル・フォレスト」なども見るに、彼はナチュラリスト的で反資本主義的な信条の持ち主なのかなあと思うけど、資本主義的なものに対する敗北もある程度自覚した上で書いているようなふしもあり、そこが少し切なく、物足りなくもあったかな。逆に彼が都市文明を描いたらどうなるのか見てみたい気もする。