百年の誤読

百年の誤読

百年の誤読

 フリーライター&エディターの岡野宏文とライターの豊崎由美が、20世紀のベストセラーにさんざツッコミを入れまくる対談集。徳富蘆花からYoshiまでズバズバと撫で斬りでございます。とりあえず本好きな人は読んでみたら結構笑えるんじゃないかと。ベストセラーしか読まん、って人は多分こんなブログ見ちゃいないとは思うが、そういう人にも一読をすすめておきたい(笑)。
 俎に乗っけられてる本を読んだ事がなくとも充分に楽しめる。むしろ載ってるのが読んだ事がある本で、しかもその本が好きなものだったりしたら、多少腹が立つのを覚悟しておいた方がいいかもしれん、基本的に読み方が意地悪なので(笑)。でもまあ、自分の好きな本がボコボコに言われてたりするのを読むってのも、自分の読みを自覚することにもなるし、たまにはいいんじゃないかと思ったりする。そりゃ揚げ足取りだろー、と言いたくなる所も多々あれど、その揚げ足の取り方が面白いので良し。そういうところはケラケラと笑ってしまった方が楽しめます。
 ベストセラーと言っても小説だけじゃなく、ハウツー本(まだこの言い方存在するのか?)の類とかエッセイ、自己啓発書までも扱われているので、今読むと凄まじくトンチキな本があったりして大笑い。金メダルを取った女子バレー監督の書いた本「おれについてこい!」とか、セックス指南書の類とか、もうムチャクチャ。前者は「これ普通死ぬだろ!」ってくらい練習をやらせまくるファナティックなしごきが当の監督本人の筆で書かれてて、これ今だったら確実に訴えられるだろっていう。後者に至ってはデッサン用の木偶人形による写真の解説が満載だったりともうどこからツッコんでいいのかと言いたくなる始末。これが150刷以上も版を重ねてたんだからオソロシイ(笑)。今のベストセラーも相当ツッコミがいのある本が多い気はするけどね。名前は出さんけど。
 でもこれは結局、この二人という個人の読みを載せたものであり、鵜呑みにしてはいけんなと。この本でネタにされてる本の紹介もこの二人がしているわけだから、自分で読まないと結局はその本の内容はわかったとは言えないだろうし、そもそもベストセラー本を批判するにも、その本を読んでないとどうにもならんわけだし。そんなわけで、これ全部読んだお二方にはとりあえず拍手を。